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マンション管理会社の属人化を防ぐ方法|担当者依存を減らす7つの対策

マンション管理会社で属人化が起こる原因と対策を解説します。物件情報、案件、対応履歴、タスクを共有し、担当者の不在や異動でも業務を止めないための7つの方法を紹介します。

マンション管理会社では、担当者にしか分からない業務が生まれやすい傾向があります。例えば、次のような状況はないでしょうか。

  • 特定の物件について、担当者以外は状況を説明できない
  • 業者との連絡経緯が、担当者のメールにしか残っていない
  • 理事会で決まった宿題を、担当者が記憶だけで管理している
  • 担当変更のたびに、過去の議事録やメールを一から確認している
  • ベテラン担当者が休むと、誰も代わりに対応できない
  • 案件の進め方が担当者によって異なる

このように、業務の進め方や情報が特定の担当者へ集中している状態を「属人化」と呼びます。

属人化が進んでいても、担当者が問題なく勤務している間は、大きな課題として認識されないことがあります。しかし、担当者の異動、退職、休職、長期休暇などをきっかけに、業務が止まる可能性があります。

また、属人化は担当変更時だけの問題ではありません。日頃から上司や同僚が案件の状況を把握できないため、対応漏れ、期限超過、重複対応、説明不足などにつながるおそれがあります。

マンション管理会社の属人化を防ぐために重要なのは、担当者の経験や能力を否定することではありません。担当者が持つ知識や対応履歴を、組織として利用できる形に変えることです。

この記事では、マンション管理会社で属人化が起こる原因と、担当者依存を減らすための具体的な対策を、フロント業務の実務に沿って解説します。

マンション管理会社における属人化とは

属人化とは、業務の手順、判断基準、進捗状況、関係者とのやり取りなどが、特定の担当者にしか分からない状態です。

マンション管理会社では、物件ごとに管理組合の事情や建物の特性が異なります。同じ修繕工事であっても、予算、過去の経緯、理事会の意向、関係する業者などによって、進め方は変わります。そのため、担当者が物件ごとの事情を理解すること自体は必要です。

問題は、その情報が担当者の頭の中、個人メール、手帳、独自に作成したExcelなどにしか残っていないことです。

例えば、あるマンションで給水管の不具合が発生し、複数の業者から見積書を取得したとします。最終的にA社を選んだとしても、案件一覧に「A社へ依頼」としか記載されていなければ、後から見た人は次の内容を把握できません。

  • なぜA社を選んだのか
  • 他社の見積金額はいくらだったのか
  • 理事会でどのような意見が出たのか
  • 工事範囲をどのように決定したのか
  • 今後確認すべき事項は何か

担当者本人には分かっていても、組織として情報を確認できなければ、業務は属人化しています。

属人化と専門性は異なる

属人化を防ぐというと、担当者の裁量や専門性をなくし、すべての業務を画一化することだと思われる場合があります。しかし、属人化と専門性は別のものです。

マンション管理の現場では、担当者の経験や判断が必要な場面があります。理事会役員との調整、クレームへの対応、修繕工事の進め方などは、単純なマニュアルだけでは対応できません。

担当者の専門性を生かしながら、判断の経緯や対応結果を組織に残すことが重要です。属人化を防ぐ目的は、誰が担当しても全く同じ対応をさせることではありません。担当者が変わっても、過去の経緯を理解したうえで業務を継続できる状態を作ることです。

マンション管理会社で属人化が起こりやすい理由

一人の担当者が複数の物件を管理している

フロント担当者は、複数の管理組合を担当します。物件ごとに、理事会の日程、修繕案件、設備の不具合、クレーム、管理組合からの要望などを把握しなければなりません。

担当物件が増えるほど、案件数も増加します。その結果、担当者自身が業務を進めることが優先され、他の社員が確認できる形で情報を整理する時間を確保しにくくなります。

物件ごとに事情が異なる

マンション管理では、同じ業務でも物件ごとに対応方法が異なります。例えば、理事会への報告方法一つをとっても、毎回詳しい資料を求める管理組合もあれば、要点だけを報告してほしい管理組合もあります。

また、長年付き合いのある業者、過去のトラブル、役員との合意事項など、物件固有の情報もあります。こうした情報が文書化されず、担当者の経験として蓄積されることで、属人化が進みます。

情報の保存場所が分散している

マンション管理業務では、さまざまな形式の情報を扱います。

  • メール・電話メモ
  • Excel・Word
  • 議事録・見積書・点検報告書
  • 現場写真
  • 共有フォルダ・紙の書類

案件の概要はExcel、業者とのやり取りはメール、理事会での決定事項は議事録というように、情報が複数の場所へ分散します。担当者は保存場所を把握していても、後任者や同僚はどこを確認すればよいか分かりません。

業務手順が統一されていない

担当者ごとに案件名の付け方、履歴の残し方、期限の管理方法などが異なる場合があります。個人ごとに最適化された管理方法は、本人にとっては便利です。しかし、組織として案件を確認するときや、担当変更を行うときには、大きな負担になります。

引き継ぎが担当変更時にしか行われない

日頃から情報が整理されていない場合、担当変更が決まってから引き継ぎ資料を作り始めます。しかし、複数の物件と多数の案件を短期間で整理することは簡単ではありません。

引き継ぎは、担当変更時に始める作業ではありません。日常業務の記録を積み重ねた結果として、いつでも引き継げる状態を作ることが理想です。

属人化によって起こる問題

属人化は、担当者が退職したときだけ表面化する問題ではありません。日常業務にもさまざまな影響を与えます。

担当者の不在時に業務が止まる

担当者が休暇や出張で不在の場合、管理組合や業者から問い合わせがあっても、他の社員が回答できないことがあります。案件の進捗や過去の経緯が共有されていなければ、担当者の出勤を待たなければなりません。緊急性の高い漏水や設備故障の場合、初動が遅れる可能性もあります。

対応漏れや期限超過を発見しにくい

担当者が自分の記憶や手帳だけでタスクを管理していると、周囲が期限や進捗を確認できません。そのため、対応が遅れていても、問題が発生するまで気付けないことがあります。案件情報が共有されていれば、上司や同僚が停滞を把握し、早い段階で支援できます。

担当者本人の負担が増える

属人化は、会社だけでなく担当者本人にも負担を与えます。自分にしか分からない案件が増えると、休暇中でも連絡を受けたり、細かな質問に対応したりする必要が生じます。

情報を共有できる状態にすることは、担当者を監視するためではありません。担当者が一人で抱え込まなくてよい環境を作るためでもあります。

対応品質に差が生じる

業務手順や判断基準が共有されていなければ、担当者によって対応品質に差が生じます。過去の対応履歴や判断理由を確認できれば、経験の浅い担当者でも、既存の知識を活用できます。

引き継ぎ後に問題が発生する

引き継ぎ書には、進行中の案件や注意事項が記載されます。しかし、紙やWordの引き継ぎ書は、作成した時点の情報です。引き継ぎ後に案件が更新されても、引き継ぎ書には反映されません。

引き継ぎ書だけに頼らず、日々更新される案件情報そのものを共有する必要があります。

マンション管理会社の属人化を防ぐ7つの対策

属人化を防ぐためには、すべての業務を一度に変更する必要はありません。担当者依存が大きい業務から、段階的に改善することが現実的です。

1. 物件ごとの重要情報を整理する

まず、物件ごとに継続して把握すべき情報を整理します。

  • 管理組合や理事会の特徴
  • 継続中の重要案件
  • 設備や建物に関する注意事項
  • 過去に発生したトラブル
  • 定期的に確認が必要な事項
  • 主要な取引業者
  • 管理員や関係者との連絡上の注意点

これらの情報を物件カルテや管理メモとしてまとめておけば、担当変更時だけでなく、上司や応援担当者も確認できます。事実、対応上の注意点、合意された内容を中心に記録します。

2. 案件を一覧化する

担当者が抱えている案件を一覧で確認できる状態を作ります。案件ごとに、最低限次の項目を記録します。

  • 物件名・案件名
  • 担当者・優先度
  • 現在の状況
  • 期限・次回確認日
  • 次にやること
  • 最終更新日

「対応中」という曖昧な表現ではなく、「A社の見積提出待ち」「次回理事会へ上程予定」など、現在地を具体的に記載することが重要です。

3. 案件ごとに対応履歴を残す

案件の結論だけでなく、対応の経緯を時系列で残します。

  • 6月5日 管理員から共用廊下の漏水連絡を受けた
  • 6月6日 修繕業者へ現地調査を依頼した
  • 6月10日 原因は上階排水管の接続部と判明した
  • 6月15日 見積書を受領した
  • 6月20日 理事会へ報告し、工事実施を承認した

メールの全文を貼り付ける必要はありません。後から確認した人が、何が起こり、何が決まり、次に何をするのかを理解できる程度に要点を記録します。

4. 「次にやること」を明確にする

属人化を防ぐためには、現在の状況だけでなく、次の行動を明確にする必要があります。「業者対応中」だけでは、他の社員は何をすればよいか分かりません。次のように具体的に記載します。

  • 7月30日までに業者へ見積提出状況を確認する
  • 次回理事会用の比較表を作成する
  • 保険会社からの回答後に工事日を調整する
  • 工事完了後、現場写真と報告書を確認する

担当者が急に不在になった場合でも、次の行動が記録されていれば、業務を継続しやすくなります。

5. 業務ルールを最低限統一する

すべての業務を細かくマニュアル化する必要はありません。まずは、担当者によって差が生じやすい部分だけでも統一します。

  • 案件を登録する基準
  • 案件名の付け方
  • 期限と確認日の設定方法
  • 対応履歴を残すタイミング
  • 完了と判断する条件
  • 関連資料の保存方法

最低限のルールを決めることで、担当者ごとの管理方法の差を減らせます。

6. 資料の保存場所を統一する

見積書、写真、報告書、議事録などの保存場所が担当者ごとに異なると、必要な資料を探せません。共有フォルダを利用する場合は、次のようなルールを決めます。

  • 物件ごとにフォルダを分ける
  • 案件ごとに専用フォルダを作る
  • ファイル名に日付と内容を入れる
  • 最新版と旧版を区別する
  • 案件管理表から保存場所を確認できるようにする

7. 定期的に案件を確認する

情報を登録するだけでは、属人化は防げません。登録された案件を、上司やチームで定期的に確認する必要があります。例えば、週に一度、次の案件を確認します。

  • 期限を過ぎている案件
  • 次回確認日を過ぎている案件
  • 長期間更新されていない案件
  • 担当者以外が状況を把握できない案件
  • 理事会や総会の日程が近い案件

定期的な確認は、担当者を責めるためのものではありません。案件が停滞している原因を確認し、必要に応じて支援や判断を行うための仕組みです。

引き継ぎ書を作るだけでは属人化を防げない理由

属人化対策として、引き継ぎ書の作成を徹底する会社もあります。引き継ぎ書は重要ですが、それだけでは十分ではありません。

引き継ぎ書は、作成した時点の情報をまとめたものです。案件が進行すれば、内容はすぐに古くなります。また、引き継ぎ直前に作成すると、担当者が覚えている情報だけが記載され、日常の細かな経緯が抜ける可能性があります。

本当に必要なのは、引き継ぎのためだけに情報を整理することではありません。日々の案件管理や対応履歴を蓄積し、その情報を使って引き継ぎ内容をまとめられる状態です。

日常業務の記録が整っていれば、引き継ぎ書は情報を一から集めて作るものではなく、重要事項を抜き出して整理するものになります。

Excelでも属人化対策はできるのか

案件数や担当者数が少ない場合は、Excelでも属人化対策を進められます。重要なのは、担当者ごとに別のファイルを作らず、会社や部署で共通の管理表を使用することです。共通のExcelには、次の項目を設定します。

  • 物件名・案件名・担当者
  • 受付日・ステータス・優先度
  • 期限・次回確認日
  • 次にやること・対応概要
  • 最終更新日・関連資料の保存場所

Excelで属人化対策を続ける場合は、次の状態になっていないか定期的に確認しましょう。

  • 担当者しかファイルの場所を知らない
  • 担当者ごとに入力方法が異なる
  • 案件の経緯が一つのセルにまとめられている
  • 最新版のファイルが複数存在する
  • 資料の保存場所が記載されていない

Excelを使うこと自体が問題なのではありません。組織で情報を共有できず、担当者個人の管理表になっていることが問題です。

属人化対策のためのシステム選び

属人化を防ぐ目的でシステムを導入する場合は、機能の数だけで判断しないことが重要です。現場で情報が継続して入力され、担当者以外が確認できなければ、システムを導入しても属人化は解消されません。

物件を起点に情報を確認できるか

マンション管理会社では、物件ごとに案件や注意事項が蓄積されます。物件を開いたときに、進行中の案件、過去の対応履歴、クレーム、理事会情報などを確認できる仕組みが必要です。

案件とタスクを分けて管理できるか

「大規模修繕工事」のような案件と、「見積書を取得する」「比較表を作成する」といったタスクは異なります。案件の全体像と、担当者が次に行う作業を分けて確認できるシステムが適しています。

履歴を時系列で残せるか

案件の判断理由や関係者とのやり取りを、時系列で確認できることが重要です。履歴を簡単に追加できないシステムでは、担当者が入力を後回しにし、結果として情報が残らなくなります。

停滞や期限超過を確認できるか

属人化している案件は、担当者以外が状況を把握できないため、停滞を発見しにくくなります。期限切れだけでなく、長期間更新されていない案件や、確認日を過ぎている案件を把握できると、早い段階で対応できます。

引き継ぎに情報を再利用できるか

日常的に登録した物件情報や案件履歴を、引き継ぎ資料へ活用できることも重要です。案件管理と引き継ぎ資料が完全に分かれていると、担当変更のたびに情報を再入力する必要があります。

入力が簡単か

属人化対策では、記録を継続できることが最も重要です。入力項目が多すぎたり、操作が複雑だったりすると、情報が入力されなくなります。最低限の情報で案件を登録でき、必要に応じて履歴や資料を追加できる仕組みが適しています。

属人化対策を定着させる進め方

属人化を防ぐ仕組みを導入する際に、すべての過去案件を一度に整理しようとすると、現場の負担が大きくなります。まずは、次のような業務から始めるとよいでしょう。

  • 現在進行中の修繕案件
  • 次回理事会で報告する案件
  • 担当者以外が状況を把握できない案件
  • 期限や確認日がある案件
  • 漏水やクレームなど、経緯を残す必要がある案件

最初の目標は、完璧なデータベースを作ることではありません。担当者が休んでも、別の社員が案件の現在地と次にやることを確認できる状態を作ることです。

運用を始めた後に、入力されていない項目や使いにくい部分を確認し、少しずつ改善します。

よくある質問

属人化はすべてなくすべきですか?

担当者が持つ経験や専門性までなくす必要はありません。マンション管理では、管理組合との関係や過去の経緯を踏まえた判断が必要です。重要なのは、その判断の理由や対応結果を記録し、組織で活用できるようにすることです。

マニュアルを作れば属人化を防げますか?

定型業務については、マニュアルが有効です。ただし、修繕、クレーム、理事会対応などは、案件ごとに状況が異なります。マニュアルだけでなく、案件ごとの対応履歴や判断理由を残す必要があります。

ベテラン社員が情報共有に消極的な場合はどうすればよいですか?

情報共有を追加業務として依頼すると、負担に感じられる可能性があります。まずは、入力項目を減らし、日常の案件管理と情報共有を同じ作業にすることが重要です。また、情報共有は担当者を監視するためではなく、不在時の対応や引き継ぎの負担を減らすためであることを説明します。

属人化対策を始める場合、何から着手すべきですか?

まず、進行中の案件を一覧化します。そのうえで、担当者、現在の状況、期限、次にやること、最終更新日を記載します。すべての業務を整理するのではなく、停滞や引き継ぎのリスクが高い案件から始めると進めやすくなります。

担当者変更が少ない会社でも属人化対策は必要ですか?

必要です。属人化は退職や異動だけでなく、休暇、病気、緊急対応、業務量の増加などでも問題になります。また、案件情報が共有されていれば、上司や同僚が状況を確認し、必要な支援を行いやすくなります。

システムを導入すれば属人化は解消しますか?

システムを導入するだけでは解消しません。案件を登録する基準、履歴を残すタイミング、次にやることの記載方法など、最低限の運用ルールが必要です。システムは情報共有を支援する手段であり、継続して利用される仕組みづくりが重要です。

まとめ

マンション管理会社では、物件ごとの事情や過去の経緯が多いため、業務が担当者へ集中しやすい特徴があります。担当者本人が問題なく対応できていても、情報が個人メール、手帳、Excel、記憶の中にしか残っていなければ、組織として業務を管理できているとはいえません。

属人化を防ぐためには、次の7つの対策が有効です。

  • 物件ごとの重要情報を整理する
  • 案件を一覧化する
  • 案件ごとに対応履歴を残す
  • 次にやることを明確にする
  • 業務ルールを最低限統一する
  • 資料の保存場所を統一する
  • 案件を定期的に確認する

大切なのは、担当者の経験や専門性をなくすことではありません。担当者が持つ知識を、別の社員も確認できる形で残すことです。

現在の業務が属人化していると感じる場合は、まず一つの物件を選び、進行中の案件、次にやること、資料の保存場所が担当者以外にも分かるか確認してみましょう。担当者が不在になると困る業務から、少しずつ情報を共有することが属人化対策の第一歩です。

物件情報、進行中の案件、対応履歴、タスク、関連資料が、担当者ごとに分散していませんか。

物件を起点に案件やタスクを整理し、日々の対応履歴を蓄積することで、担当者が変わっても状況を確認しやすくなります。

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